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陣内研究室の研究内容

陣内研究室ではLHCアトラス実験を中心の研究テーマとしています。活動の中心は稼働中のアトラス検出器の運転・性能評価、収集されているアトラス実験データの解析、そして将来のアトラス検出器アップグレードのための検出器・読み出しの開発となります。

LHC-ATLAS実験について(詳しくはこちら)

LHCは2015年6月より重心系エネルギー13TeVにて陽子陽子衝突の運転を再開しました。 11月の始めまで走り続け、積算ルミノシティ 4/fb (解析では3.3/fb使える)のデータを 収集しました。

(以前の文章)LHCは2012年中は重心系エネルギー8TeVでデータを取り続け、その後2年程加速器の補修のためシャットダウンします。2011(7TeV),2012(8TeV)と ためたデータは積分ルミノシティでおよそ30/fb近くまでのぼり、これまでになかった大統計での新粒子探索が可能となります。陣内研では 博士課程の大学院生が活動の柱となり、超対称性粒子探索を行っています。

内部飛跡検出器の運転(詳しくはこちら)

陣内研ではPixelとSCTの運転に携わっています。内部飛跡検出器は アトラス実験の衝突点で大量に発生する荷電粒子の運動量、および、衝突点 位置決定をする上で貴重なもので、ここで得られるデータを正確に評価する ことが直接物理結果の精度に関わってきます。

PixelはATLAS検出器の最内層に位置する検出器で、Pixel型の検出器4層からなります 一つのピクセルのサイズは50x400μm^2(1層目は2014年に新規インストールされたもので50x250μm^2) で、非常に細かい分、読みだすチャンネルの数が9000万にも上り、ATLAS実験の全読み出し数の 半分はこの小さな検出器からとなります。陣内研ではこのPIXELのデータ品質をモニタし、 運転上起こる様々な問題を早期に発見し、解決する課題に取り組んでいます。 またこの検出器、および次のSCTのヒット位置を基に飛跡を再構成しますが、 その再構成の精度・安定性を向上させる取り組みにも参加しています。Pixel検出器に 公式に参加しているのは日本の研究機関では、(2015.12現在)高エネ研と陣内研だけです。

SCTはSemi-Conductor Trackerの略で、内部飛跡検出器の第2段目の 層に位置する重要な検出器です。また、600万チャンネルからなるこの検出器が正しく動作しているかを効率 よくモニターすることも非常に重要な役割です。陣内研ではこのSCTのデータの精度を更に良くする研究(ローレンツ角の測定、内部飛跡検出器内物質量の再評価)、およびデータ品質のモニター(検出効率等の長期モニタ)など幾つかの課題に取り組んでいます。

ATLAS物理データ解析(詳しくはこちら)

LHC実験では様々な物理トピックがあり、アトラスグループにいる大勢の コラボレータが多くの物理チャンネルの解析を進めています。1研究者が 本格的に(100%勢力を注いで)取り組んだとして、実質1チャンネル/1人を 進めるので精一杯になります。そこで陣内研では対象をある程度絞っています。 当面の間は超対称性粒子探索、暗黒物質候補になるチャンネルを中心にして 進めています。博士課程学生のが中心に取り組んでいます。 また修士の学生も限定的なトピックに関して随時取り組んでもらっています。

HL-LHCに向けたアップグレード(詳しくはこちら)

2024年からHL-LHCへのアップグレードが行います。HL-LHCはHigh Luminosity LHCの 略でLHC加速器の瞬間ルミノシティが約5倍に増強され、10年間の運転で、LHC運転の10倍の 統計を貯めることができます。 現在、HL-LHCで使われるシリコンセンサーの設計が試験されている段階で、 最終デザインを確定するのに向けて、各国のグループが凌ぎを削って新センサーの 開発に取り組んでいます。陣内研はKEK(高エネ研)のセンサー開発チームと共同に活動し、 Planar Pixel Sensor (PPS) Collaborationという国際協力のグループに 属してPPS用のセンサー開発に参加しています。主な取り組みは浜松フォトニクスと 共同開発したセンサーをCERN(スイス)、DESY(ドイツ)や日本の施設でビーム試験をして その性能を評価することです。また新センサーの読み出し回路の開発にも参加しています。

Pixelと平行に、strip型センサーのUpgradeにも取り組んでいます。

小型素粒子実験を用いた研究(詳しくはこちら)

主に卒論生を中心に進めているプロジェクトです。毎年少しずつテーマの重心が変わり、 少しずつ測定機器も増え、内容も進化し続けています。この研究で使う機材は、 KEKサマーチャレンジプログラムでも用いるため、そちらの活動とも密接な関係があります。